全く新しい画風で
美術界に旋風を巻き起こした
「モネ」の波乱に満ちた人生を、
アートの旗手・原田マハが徹底解説。
本作では、
モネの人生や作品だけでなく、
その時々のモネの
「心情」が、
大胆かつ丁寧に描かれています。
巨匠の心情に
「あぁ、分かる分かる」と
友人と話すときのように
思わず膝を叩いてしまうのは
まさに
原田マハの
豊かな想像力・筆力のなせる業だと思います。
さて、
とりわけ印象的だったのは、モネの
「自己表現への欲求」。
極めて写実的な作風が主流だった時代に
モネは一石を投じます。
喜び・悲しみ・怒りなど、
目に見える風景「以外」を、
感じ取る余地を残したのです
(この作風が、印象派となります)。
「モネは、
『キッチリ』描くことが大切という風潮に
息苦しさを覚え、抗うために
感情を絵にぶつけたのかなぁ…」
そんな風に
モネの気持ちに想いを馳せると、
手の届かない巨匠のはずなのに
なぜか、
とても親しい友人のように思えてくるのです。
近年のSNSの流行も、
息苦しい時代の中で
心の奥底に押し込めた
「自己の発露への欲求」と考えると、
案外、モネと私達は近いことを考えていたのかも?
モネは晩年を、
パリでなく、
自然の多い郊外で過ごします。
せせこましいパリでなく、
雄大な自然があり、
画題も豊富で、
家賃も安い。
パリに起点を起きつつ、
周辺に自分の居場所を見つけるライフスタイル。
これって、ものすごく
イマっぽい生き方じゃないですか?
モネの絵やライフスタイル、思想には、
自分の心を大切に生きるためのヒントが、
沢山隠れているのかもしれません。
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