停滞する自分が情けない
私の時計の針は、あのときから、ずっと止まったまま…
激務で心身を病み、休職してからずっと、職場に復帰することに、どうしても戸惑いを覚える自分がいます。「このままじゃダメだ…」と何度も何度も思うも、いざ一歩踏み出そうとすると、辛かった日々が思い出され、急に気持ちが萎える自分。「なぜだ、なぜ一歩が踏み出せないんだ…」周りの皆は社会で頑張っているのに、小さな一歩すら踏み出せない自分が、どうしようもなく情けなくて仕方がありませんでした。
そんなとき、本『言語化の魔力』に出会いました。「悩み解消の決定版」。私は貪るように本にのめり込みました。心にグングン迫る言葉の数々は、私の人生を変えてくれる…そんな予感すら感じました。
けれど本を読んでも、どうしても、どうしても、自分の悩みの解消にどう結びつければいいか、分かりませんでした。貴重な本の教えを目の前にしながらも、未だに一歩を踏み出せない自分に、やるせなさが募りました。
ガス抜きで、心の声に気づく
そんな中、本『言語化の魔力』の中で「ガス抜きの大切さ」が述べられていました。そこには「解決しなくていい。ただ話すだけで悩みの9割は解消される」と書いてありました。以前の私なら、「話しても解決できないこと」は絶対に相談しなかったでしょう。見通しが立たないと相談したくない性格だったんです。
けれど、藁をも掴んででも、この悩みから抜け出したい私は、思い切って今の心境を妻にぽつりぽつりと話しました。情けなさ・自己嫌悪など、今の心境を、正直に吐露したのです。
すると妻は優しく言いました。
「きっと、心の傷がふさがっていないんだね」と。そのとき「あっ」と心がパチンと音を立てたのです。「そっか、私は、職場復帰が怖かったのか…」そんなことに、妻の言語化で、初めて気づいたのです。
心の声に気づかないふりをしていた私
「調子が戻ったので、復職することにしました!」
こう言えたら、どれだけスッとすることでしょう。耳障りもいいし、周囲の皆にも「あぁ、よかったね」って受け入れてもらえる…どこかでそう信じていました。胸を張ってそう言えるようになりたくて、自分に自信が持ちたくて…心は「職場復帰が怖い」という叫んでいたのに、私はその声に気づかないフリをずっとしていたのです。
妻の言語化に、一番ホッとしたのは、叫び続けていた「私の心」だったのかもしれません。私は、自分の心を無視してきたことに、とっても申し訳ない気持ちで一杯になりました。
魔法のランプにお願いしたいこと
『言語化の魔力』には「どんな願いでも叶えてくれる魔法のランプに、お願いしたいことこそが、本当の願いだ」と書いてあります。
激務で心身を壊した経験を踏まえ、いまなら私は「心と時間にゆとりのある人生」を強く強く願うことでしょう。けっして「職場に復帰したい」とは願わないと思います。それにも関わらず、私はずっと「職場復帰に踏み出せない自分」に悶々としていました。
もしかしすると私の悩みはズレていたのかもしれませんね。
二者択一でなく、無限の選択肢をとる
とはいえ、これは短絡的に「職場復帰するか否か」の二者択一の問題ではないのかな…とも、思います。
望む人生に繋がる道は、きっと沢山あります。その無限に広がる可能性を、今できることから、一つずつ試してみようよ、というのが、樺沢先生のメッセージだと思ったのです。
たとえば、職場復帰する決断でも別にいいのです。その選択のうえで、望む人生を手に入れる方法はきっとあるはず。たとえば、元の職場でなく「ゆとりが持てる職場への異動配置」を相談することはできるでしょう。
また仮に職場復帰しない決断でもいいのです。その場合、どのような選択肢がありうるのか。恥ずかしながら、私は、悶々と悩むばかりで、その他の道について、調べることすら出来ませんでした。情報不足が不安を生むのであれば、情報を集め、不安を消していくしかないですよね。また、よくよく考えると、最近では「地方移住」「Uターン」「ワークライフバランス」など、ゆとりあるライフを目指す人が多く存在する気もします。そう考えると、勝手に孤独感を感じていただけで、ゆとりを目指す価値観の方は多くいるのかもしれません。
バーっと紙に書き出すと、自分でもビックリするくらいTodoが出てきました。やるべきことは沢山あります、それこそ不安を抱える暇もない位に。
そのとき、ふと自分の心が少し軽くなっていることに気づいたのです。もちろん、状況は全く変わっていません。けれど、やるべきことが目に見えると、靄がかかっていた視界に一筋の光が差す感覚を覚えたのです。「あぁ、これが言語化の魔力かぁ…」とつぶやく自分がいました。
言語化で心と対話する大切さ
今回の件で、私は、言語化がもたらす最大の効果は「心の理解促進」だと思いました。
悩みとは、すなわち「心」の問題、言い換えれば、心を理解しないと、悩みは解消できないのだと思います。
けれど、世間の価値観・プライド・他人からの評価を気にしすぎるあまり、心の声に蓋をしてしまうことが、よくあります。それが続くと、自分は何をしたいのか分からなくなる。自分が信じられなくなり、他人や世間に振り回される。そうして、かつての私は、がんじがらめになり身動きがとれなくなり、心身の健康を損ねたのです。
もう、自分の心に嘘をつきたくありません。
自分の人生の手綱を、誰かに預けたくないのです。
どんな人生の選択をするにせよ、自分の心には、いつも正直に生きていきたいのです。
そのためにも、
どこまでも「心の声」を「言語化」し、自分の人生を生きよう。
その決意を新たにさせてくれる、珠玉の一冊でした。
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